「改めて知的生産の術について」は現代版知的生産の技術を追究すること
タイトルにもあるように今週のメルマガから「改めて知的生産の術について」という記事の連載が始まりました。
知的生産の技術について考えてきた倉下忠憲さんのさらなる試みとして深みのある内容でした。
現代における「知的生産の技術」に言及する必要性として以下のような要素を提示しています。
・個人の趣味としての「知的生産」
・知的生活を支える技術としての「知的生産の技術」
・知識労働者が必要とする「知的生産の技術」に含まれる情報を扱う技術
・情報社会市民が必要とする「知的生産の技術」に含まれる情報を扱う技術
それぞれに対する説明もされています。
気になった方はnoteにて180円で販売されていますので,そちらをご覧いただければと思います。
Weekly R-style Magazine 「読む・書く・考えるの探求」 2018/03/05 第386号|倉下忠憲|note
https://note.mu/rashita/n/nb0f61907e25a
「知的生産の技術」を4つに分けて考えてみるということが新しさを感じるものです。
考えたこと(1)「知的生産の技術」の要素を広げる
現代における「知的生産の技術」は上記の4つにあるという提案を受けて,自分が考えたことについて書いていきます。
まず,考えたことは4つ以外の要素あるいは方向性があるのかもしれない。あるとしたときにはどのようなものが考えられるか?ということです。
これについてはまだ答えが出ていないですが,4つを基点としたものからの分解になる可能性が高いからです。
とりわけ「情報社会市民が必要とする「知的生産の技術」に含まれる情報を扱う技術」が対象とする領域が広すぎてほとんどのものがここに集約されるのではないかとさえ思ってしまいます。
とはいえ,要素を分析するということから考えると,分解されたものとはいえ,何か新たなもしくは気づかなかった要素が見つけられると,「知的生産の技術」を深められることにつながるので,今後も考えてみたい課題です。
考えたこと(2)「改めて知的生産の技術について」を図式化する。1
上記4つの点について図式化するとどうなるか?ということについて考えてみました。
ベン図を使って考えてみました。

なぜ,このような図式になったのか?
現代における知的生産の技術としてEvernoteを念頭において考えてみたからかもしれません。ツールとの関係で,このような図になったとも考えられるので,別のツールで考えてみたときにはこの関係性も変わってくるかもしれません。
個人の趣味では,料理を例にして考えてみると分かりやすいかもしれません。レシピ,材料,調理法などそれぞれの情報を集約したり,整理したり,趣味の世界を追究するものとしてEvernoteを使うということが考えられます。
知的生活では,読書が例として分かりやすいかもしれません。趣味とは切り離して古典に没頭する,専門書を読むことなど教養を深めるためのものとしてEvernoteに記録していくというものです。
知識労働者〜では,プロジェクト,作業記録,名刺管理などが考えられます。ビジネスの場面でEvernoteを利用している人は多いでしょう。
私はそれぞれが同じくらいの大きさのものとして捉えました。趣味としての教養が知的生活に結びつくことも考えられるだろうし,知識労働者が求める情報から考えてみたときに経営学や哲学などの学問を学ぶこと=知的生活と重なるところもあるだろうとも思います。
この3つに関しては重なるところもありますが,違いが明確になってきています。
メルマガでは,次のように分かりやすく書かれています。
実際、よく似ている「趣味としての知的生産」と「知的生活」ですら違いがあるのです。後者は、教養書や古典を読もうという動機づけがありますが、前者にとってそれは強要でしかありません。重なるところはあっても、違いは大きいのです。
情報社会市民〜とEvernoteとの関係を考えてみると,個人の趣味も含まれますし,知的生活,知識労働者も含まれてしまうなと思っています。それぞれの領域に存在する共通点・相違点も情報社会市民としたときには包含されてしまうのではないかと思ってしまいます。
梅棹先生の「知的生産の技術」=「情報社会市民が必要とする「知的生産の技術」に含まれる情報を扱う技術」なのかと問われると何か違うなと思います。
ベン図を書いたときには,そこまで違和感がなかったですが,こうして書きながら考えてみると,違和感があります。
考えたこと(3)「改めて知的生産の技術について」を図式化する。2
次に考えてみたのが,4つを何かしらの観点で分類できないだろうか?ということから考えてみました。

縦軸を仕事と生活,横軸を個人と集団に設定してみました。この軸の設定がどうなのかという問題は含んでいます。
これを通しておおよその位置関係を把握できるかなと考えていました。
「情報社会市民が必要とする「知的生産の技術」は,中央に位置するというのはすぐに決まりました。
上記の例であてはめて考えてみると趣味の領域は個人・生活に入るかなと考えていました。
知識労働者〜については,仕事的な側面が強いから,縦軸の上の方に位置します。はじめは集団・仕事の領域に配置していましたが,知識労働者が求めるニーズは個人的なものかもしれないということを考慮すると今のような位置になりました。
しかし,図式化した段階では気づかなかったですが,よく考えてみると,料理を趣味とした場合には,料理教室やコミュニティなども想定されてしまうなということや知的生活についてもtwitter読書会,scrap boxなどオンラインのつながりもあるから,必ずしも個人には該当しないなということに気づきました。
図式化して,破綻していることが分かりました。縦軸・横軸の観点の設定自体の問題もありますが,そもそも2軸にして分析する方法が適切ではなかったのかもしれないです。
おわりに
今回は倉下忠憲さんのメルマガを読んで考えたことをまとめました。
自分が浅はかだったなと気づかされました。「知的生産の技術」は,多様性があり,個人や集団とのニーズとの関係によって捉えられるもので,現代においては,より複雑なものになっているということが考えを深めていって改めて気づかされた結論です。
「知的生産の技術」は現代においても求められるものではありますが,広めるためのアプローチをどのように行うかといったことは課題です。
今回は,本当に勉強になりました。文章力はあいかわらずありませんが,書いていく中で,自分の思考をまとめることができました。失敗の過程ではありますが,分からないことが分かってすっきりしています。
メルマガを通じてこれからも考えていきたいです。
[読書]梅棹忠夫(1969)『知的生産の技術』岩波新書
http://pmastyle.seesaa.net/article/368116255.html
[読書]外山滋比古(1986)『思考の整理学』ちくま文庫
http://pmastyle.seesaa.net/article/386363333.html
[読書][知的生産][evernote]倉下忠憲(2011)『EVERNOTE「超」知的生産術』C&R研究所: pmastyle
http://pmastyle.seesaa.net/article/410259700.html
[読書]倉下忠憲(2012)『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』技術評論社
http://pmastyle.seesaa.net/article/390179445.html
[読書]堀正岳・まつもとあつし(2014)「知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術」マイナビ新書: pmastyle
http://pmastyle.seesaa.net/article/406727038.html
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